「お前たちがここに閉じ込められたわけがわかるか?」 「さあな、料理されてお前の晩飯にでもなるのか?」 トレジャーハンターが軽口を叩いた。 「ふん、威勢が良いな。まあその威勢は今後必要になるからとっておけ。」 意味不明な返答に、トレジャーハンターは黙っているしかできなかった。 「何でもいいからここから出してください。早く白湯が飲みたいです。」 「はっはっは、むしろ私はお前たちに『ここから出てもらう』ために入れたんだ。」 「え?」 「出てもらうために入れるって…話がおかしいじゃないか。」 実演男は反論した。 「まあまあ、全てを理解したければ俺の話を最後まで聞け。」 「いいか、お前ら3人は運悪く『落ちの無い小話』の主人公にさせられてしまった人間だ。 このままではいいかげんな結末で終わらせられるか、作者に忘却されて終わりだ。 どちらにせよ微妙なキャラのままで終わってしまうのだ、嫌だろう? そこでお前たちにチャンスを与える! 残り3日のうちに自分の物語のオチを考えろ。そうすれば元の場所に戻してやる。 ただし、それがつまらないものだったら お前らはさっきの『落ち無しおじさんに殴られて気絶』が落ちとなり、永遠に ここで暮らしてもらう。 以上だ。」 言うだけ言うと、落ち無しおじさんは踵を返して去っていった。 「ひ…ひでえ。作者の非力をキャラに押し付けるってのは、いったいどういう了見だよ。」 トレジャーハンターはなすすべなく立ち尽くした。 「お前は冒険物の主人公だろ、落ちなんてどうにでもなるさ。 実演販売員の俺はどうしたらいいんだ。」 実演男はへたりこんだ。 「私は…ただ白湯が好きなだけなのに…。」 白湯好きはただただ、レンガを数え続けた。 こうして落ちの無い物語の主人公の物語が始まった…。 |
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