〜Chops :食えない奴ら:〜

第1話 地震雷火事おっさん(3)


いきなり女が降りてきてこけた。
そんな突然の出来事にキートは呆然とし、レヴレフは口からタバコを落とした。
「あててて…。」
「なあレヴレフ、とりあえず起こしてやろうぜ。」
「う、うむ。」
レヴレフとキートはミサキの両脇に立ち、腕を掴んで立ち上がらせた。
「助かったぁ…。」
ミサキはふらふらと歩きだし、
『ガチャ、バタン』
レヴレフの車に乗った。
「なぜ乗る!?」
レヴレフはキートにツッコんだ。
「なんで俺に言うんだよ!」
いきなりの出来事に2人は我を見失った。
「と、とりあえずキート、話を聞いて来い。」
「なんでだよ!」
「上司命令だ!」
「あいにく俺には『ドリルを抜いて来い』っていう命令がかかってるんでね。」
「くっ…。」
言い合いに負けたレヴレフは後部座席を嫌々開けた。
「お、おい。君は…」
寝てる。
間違いなく寝ている。
そこには後部座席で横になって、いびきをかきながら寝ているミサキがいた。

「いくぜ、1,2の、3!」
キートの合図にあわせて、レヴレフはアクセルを踏んだ。
キートは全力でドリルに着いたワイヤーを引っ張った。(説明不足だったが、ドリルにはワイヤーがついていて、何度も巻き戻して使える仕組み。)
ミニのナンバープレートに突き刺さったドリルは、ナンバープレートから外れキートもろとも地面に転がった。
キートは体についた雪をほろって助手席に乗った。
「で、何か聞き出せたのかよ?」
レヴレフは親指で後部座席を指した。
「なるほど。どうする?」
「とりあえず雪かきの仕事を終わらせる。そこの軽自動車と女の事は後で考える。」
「ちょっ、それでいいのか?この子を助けるのが先じゃねえのかよ?家に帰すとかしようぜ。」
「人命救助ならもうした。話が聞けないんだ、しばらく寝かせておくのいいだろ。」
「でも…」
「雪かきを終わらせる。話はそれからだ。」
「…了解。」
車はドリルで雪の壁を壊し、進みだした。

「ふうっ」
「よし、次で最後だな。」
レヴレフはスコップをトランクに放り込んで閉めた。
と、車の中の変化に気づいた。
「キート、お前の仕事だ。」

ミサキは振動で目がさめた。
「ん?…あったかい。」
心地よい暖かさの中、目を閉じてもう一度眠りに着こうとした。
「うーん…、ってここどこ!?」
とみせかけて飛び起きた。
きょろきょろとあたりを見回す。右にはきれいに雪かきされた家が、左には雪原が見える。
前を見て、どうやら車の中にいるということがわかった。
「えーと、えーと、たしか光と人が見えて…。」
そこへ、レヴレフとキートが車の中に戻ってきた。
その時ミサキは、とんでもない事実に気づいた。
「…誘拐された!」
「「ちげーよ!」」
レヴレフとキートはダブルでツッコミを入れた。
状況がつかめずおろおろしているミサキに、キートが話しかけた。
「あのさ、俺たち雪に埋もれている車を見つけたんだよ。そしたら中から君が出てきたんだよ。そのへん覚えてる?」
ミサキは記憶をたどった末、その時のことを思い出した。
「思い出した…あっ!」
いきなり大声を出したのでレヴレフはビビった。
「ごめんなさいごめんなさい!あまりに寒かったんで勝手に車乗っちゃって…。」
ミサキは両手を合わせてあやまった。
レヴレフは車を発進させながら返答した。
「別にいいさ、俺たちは人を助けるのが仕事だ。それよりどうしてあんな所に埋まってたんだ?」
ミサキは、家出のことまで話そうかどうか迷った。

「へー、それで迷ったんだ。」
「家出か、昔を思い出すな…。」
ミサキはとりあえず全部喋ってみたが、なんともなさそうなので安心した。
「そんなわけで、私の車燃料が空なんですよ。どこかにガソリンスタンドありません?」
前に座っている2人は顔を見合わせた。
「隣町まで行かなきゃダメだな。」
レヴレフがそう言うと、ミサキの顔がくもった。
「そうだったか?レヴレフは冬場隣町まで行ってたのか?」
と、その時車が止まった。
「そうだ、その手があった。」
車が止まったのは、雪かき依頼の最後の場所だった。
「ここのじいさんは、冬場だけ燃料を売ってるんだ。雪かきついでに話をつけてきてやる。」
「よし、行くか。」
レヴレフとキートは車を降りた。

すると2人はある異変に気がついた。



ついさっき

と、その時車が止まった。
「そうだ、|

何て打とうかなー…

と、その時車が止まった。
「そうだ、京都へ行こう。」

↑無意識に打った。


…なんでだよ。

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