〜Chops :食えない奴等:〜

第一話 地震雷火事おっさん


ここはメッドンフィート町、人口は少なくある程度平和。
争い事が起きても無視してやりすごす。そんな町なので警察は居ない。

しかしその町の一角、ボロい二階建ての家にそれを快く思わない奴等がいた。
レヴレフとキートの2人だ。

レヴレフは18歳の頃「警察が居ないなら俺が町を守る!」と言って家を飛び出して以来、この家で何でも屋をしている。現在28歳、安定した収入が無いのが専らの悩みだ。
キートはその相棒。都会で入社試験に落ちた時にレヴレフの存在を知り、面白がって採用してくれと言ったら本当に雇われてしまい今にいたる。現在22歳、若さこそが最大の武器だと自負している。


「…そろそろか?」
レヴレフはご自慢の銃『グロック17』のマガジンに弾を入れながらそう言った。
今は12月、外には雪が降っている。
「ああ、奴等が動き出す頃だぜ。」
キートは手に布を巻いて、手の甲にスパイクのついたグローブを着けた。
2人はこれから来るであろう戦いにうずうずしていた。
何でも屋『Chops』の1階、事務所中央の電話が鳴り出すのを待っていた。
レヴレフは愛用の銃にマガジンを叩き込み、懐のホルスターに収めた。

その時、電話が鳴った。

キートが電話を取ると、80代ぐらいの男性の声がこう言った。
「もしもし、何でも屋Chopsさんですかい?」
「そうだ。」
「毎年恒例の奴等がやってきた、けちらしてやってくれ。」
「わかった、報酬は後日銀行に振り込んでおいてくれ。」
電話を切るとキートはニヤリと笑い、こう言った。

「レヴレフ、来たぜ!

雪かきの依頼だ!」


ではこいつら2人のやっている『何でも屋』とは、具体的に何をしているか。

まず、主に道路の清掃。
どぶさらい。
行方不明のペットの捜索。
みかん出荷のお手伝い。
今日みたいに雪が降った日は雪かきもする。

本当に何でもやるのだ。
危ない仕事は受けないのかというと、そうではない。

ゴダイ一家。この辺をシメているギャングだ。
こいつらは本当に悪いやつらだ。車を見つけるとすぐ10円傷をつけたがり、
小さい犬はすぐいじめる(でも大きい犬は恐いのでやらない)。
ペットが行方不明になる原因の大半がこいつらだ。
他にもパンをちぎって盗んだり、洗濯中の洗濯機の中にポケットティッシュを入れたり、やりたい放題なのである。
こいつら、やってる事はこすっからいが怒ると恐い。少しでも気に入らない事があると懐から銃を取り出し、そこらじゅうにあたりちらす。

こいつらを退治するような依頼があるのかというと、皆無だ。
なぜって町民はみてみぬふりをする。銃であたりちらされるのが恐いのだ。

依頼が無いと金が出ない。なのでレヴレフ達は動けないのだ。
時々やりあうのだが、銃の弾代がもったいないのですぐやめてしまう。

要約すると、レヴレフとキートはそれ以上でもそれ以下でもない『何でも屋』なのである。


「キート、雪かきってすばらしいなぁ!いろんな家から金が入る!」
「雪はどこの家にも平等に降るからな!」
2人は意気揚揚と事務所のドアを開け、出発しようとした…が。
「…雪すごいな。」
「すっげ。もう戦いは始まってるって感じだな。」
事務所のドアは引き戸で、開けるとドアの半分のあたりまで雪が積っていた。

「…やるぞ。」「…やるぜ。」

2人はスコップで事務所から車の置いてあるガレージまで掘り進めていき、なんとかたどりついた。
「いい運動になった。さて、マイ除雪車出動だ。」
銀色のボディーのセダン車に雪をよけるための簡易な鉄板をつけただけのチャチな物に乗り込んだ。
「いくらなんでも今日の雪はひどすぎるぜ。」
「昨日から降ってたからな。昨日依頼が無かったのがおかしいくらいだ。」
「レヴレフどうするんだよ?こんな雪じゃ前に進めないぜ。」
「忘れたのか?この車には様々な武器がついている。その中のショットドリルは、まさに今日のためにつけたようなもんだ。」
そう言うと、レヴレフはシフトレバーの近くにある怪しいボタンのうちの一つを押した。

『ウィーン、ガシャン』

前部ナンバープレートが開き、中からごついドリルが出てきた。

「こんなちゃっちいので掘り進んでいくってぇのか?」
「これには特殊な機能があるんだ。いくぞ、3,2,1、ファイヤー!」
ボタンをもう一回押すと、ドリルが高速回転し、射出された。

『ドカーン!』

「どうだ、これで雪の壁も木っ端微塵だ。」
「レヴレフ、すごいんだが…ガレージのシャッターまで木っ端微塵だぜ。」
「ぎゃー!」

車はドリルで雪の壁を吹き飛ばしながら、依頼された家までの道程を消化していた。
レヴレフは「修理代、修理代…」としきりにつぶやいている。
「落ち込むなよレヴレフ、いい事あるって。」
キートはうっとおしいのでなぐさめてみた。
「はぁ〜…」
しかし返ってきたのは溜息だった。
その時、キートは前方の異変に気づいた。
雪の中に何か赤いものが…
「おいレヴレフ、あれ見ろよ。何かあるぜ。」
「修理代、修理代…はぁ〜。」
「って聞けよ!」
そんな事はおかまいなしにレヴレフはショットドリルの発射スイッチを押した。

その赤い物体めがけて。

『ドバン!』

激しい衝撃音とともに、あたりの雪が吹き飛んだ。

そこにあったのは、赤いボディの軽自動車だった。
ナンバープレートにドリルが突き刺さっている。

レヴレフが叫んだ。
「…しゅ、修理代!」
「あちゃー、修理代×2だな。」
「ああああ、やっと雪かきで稼げたと思ったのに…。」
レヴレフとキートはしばらくオロオロした。そして先にキートが口をひらいた
「しっかり突き刺さってるな。」
「とりあえず引き抜くか…キート行ってこい。」
「外寒いだろ!」
「俺は上司、お前は部下!さあ行け!」
キートはしぶしぶ車をおりた。
「ちぇっ、都合の悪いときだけ上司面しやがって。」
ドリルを抜こうと車に近づいたキートは、あることに気がついた。

「窓ガラスがくもってる…?こりゃ、おい!レヴレフ!」
レヴレフは嫌々といった感じで車の窓を開けた。
「なんだ?さっさとドリルを抜け。話はそれからだ。」
「ガラスが曇ってる!中に人がいるみたいだ!」
「…なんだって!?」
レヴレフは車から降り、キートと軽自動車のもとに駆け寄った。

「キート、人はどこにいる?」
「曇っててよくみえねーよ。…?」

その時、軽自動車のフロントガラスに手形が2つあらわれた…。


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